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チタンボルトはブルーとシルバー、どちらを選ぶか|1,500円で変わる見え方

2026年6月8日 / 約10分

A06 チタンボルト ブルー(M6ボルトとワッシャーのセット)

ナンバープレートのボルトを替えよう、と思い立つところまでは早かった。ところが商品ページを開いて手が止まる。ブルーとシルバー、どちらも同じ価格。どちらも同じ形。写真を見比べても、どちらも良く見えてくる。カートに入れる直前でタブを閉じ、また別の日に同じ画面を開いている——そんな覚えのある方もいらっしゃると思います。

迷う理由ははっきりしています。この部品は、自分ではほとんど見ない場所に付くからです。運転席から見えない。洗車のときに一瞬目に入るくらい。それなのに、駐車場に並んだ車を後ろから見た人にとっては、けっこう視界の真ん中にあります。自分の判断材料が少ないまま、他人の視界に置くものを選ぶ。だから決めきれない。

この記事では、その判断材料をお渡しします。ブルーの色がなぜ見る角度で動くのか、シルバーでは何が主役になるのか、ボディ色との関係をどう考えるか、そして「色の見え方は個体で少し違う」という前提の話まで。1,500円という価格が、この決断にとって何を意味するのかも正直に書きます。

ナンバーまわりは、いちばん人に見られている面

まず、この場所の性格を整理します。ナンバープレートは、車の前後の中央付近にあります。デザインの言葉で言えば、意図せず視線が集まってしまう場所です。文字と数字という情報が載っているので、人は自然にそこを読みに行きます。読みに行った視線の周辺に、そのボルトはあります。

量産車の開発でも、ナンバープレートの取り付け位置は最後まで議論の残るところです。バンパーの造形をどれだけ整えても、そこに四角い板が一枚載る。板は法律で決まったものですから、造形の側が受け止めるしかありません。デザイナーは、避けられない要素をどう扱うかで腕を試されます。

個人の車でできることは限られていますが、ボルトの色は数少ない選べる要素のひとつです。純正の鉄のボルトが錆びていくという実務的な問題についてはナンバープレートのボルトが錆びる理由にまとめました。今回はその先、錆びない素材を選んだあとの「どの色にするか」という話です。

当店で扱っているのは次の二種類です。仕様はどちらも共通で、M6のボルトとワッシャーのセット。素材はチタン合金で、表面にはアノダイック電解被膜処理が施され、耐腐食性が高められています。日本のライセンスプレートに適合するよう設計されています。

品番・商品名色の性格価格
A06 チタンボルト ブルー見る角度と光で色が動く¥1,500
A07 チタンボルト シルバー素材の面の仕上げがそのまま出る¥1,500

なお、各ボルトは個別に販売されています。商品説明にもあるとおり、標準的な日本のライセンスプレートの取り付けには通常3セットが必要ですので、必要な数をご確認のうえお求めください。

ブルーは、光の当たり方で色が動く

A06 チタンボルト ブルー

写真をご覧いただくと分かるとおり、ブルーは一色ではありません。頭の部分は青と紫が混ざり、フランジの縁は薄い水色に寄り、ネジ部は金色から茶色へ流れています。塗料を塗った色ではなく、光の干渉で見えている色だからです。

仕組みを一言で言えばこうです。金属の表面に、目に見えないほど薄い酸化被膜——透明な膜——ができています。光がその膜に当たると、一部は膜の表面で跳ね返り、一部は膜を通り抜けて金属の面で跳ね返る。この二つの跳ね返りが重なるときに、特定の色だけが強め合って見えます。シャボン玉や水たまりの油膜が虹色に見えるのと、同じ原理です。膜の厚みが変われば強め合う色も変わるので、厚みの違いがそのまま色の違いになります。

ここから、実用上の性質が二つ出てきます。

つまりブルーを選ぶということは、固定された一色ではなく、動く色を選ぶということです。この現象そのものについてはチタンの焼き色はなぜ美しいのかで詳しく書きましたので、原理に興味のある方はそちらもどうぞ。

色が動くことは、長所にも短所にもなる

動く色は、見ていて飽きません。洗車のあとに屈み込んだとき、朝と夕方で違う顔をしている。金属そのものが色を持っているという事実は、塗装では出せない説得力があります。手を掛けた甲斐がある、という気持ちを支えてくれます。

一方で、こういう欠点もあります。写真で見た色と、自分の車の前で見える色が一致しないことがある。撮影のときの光と、自分が普段見る光が違うからです。青が強く見えると思って買ったのに、うちの駐車場では紫に寄って見える——そういうことは起こり得ます。動く色である以上、これは避けられません。

ですから、ブルーを選ぶときの心構えはこうです。「この写真の色が欲しい」ではなく、「色が動くこと自体が欲しい」と思えるかどうか。後者であれば、まず外しません。

シルバーは、面の仕上げが主役になる

A07 チタンボルト シルバー

シルバーの写真を見ると、青いほうとは見えているものが違うことに気づきます。色が主張しないぶん、削られた面と、研かれた面の差が前に出てきます。フランジの縁は光を線状に返し、頭の斜めの面はやや沈み、ネジ山は規則正しい影の縞になる。

これは、デザイナーの目から見ると面白い違いです。色を持たない金属は、形と仕上げでしか語れません。逆に言えば、形と仕上げがそのまま伝わります。どこにどんな角度の面があるか、その面がどれだけ滑らかか。ブルーではその情報の一部が色に覆われますが、シルバーでは覆うものがありません。

もうひとつの性格として、シルバーは周囲の色を拾います。黒いバンパーの上なら少し沈んで見え、白いバンパーの上では明るく見える。逆に言えば、周囲から浮きにくい。「付けたことに気づかれたくないが、錆びるのは嫌だ」という方には、こちらが素直な選択になります。

純正のボルトとの違いも、シルバーのほうが分かりにくい部類です。鉄のボルトも新品のうちは銀色ですから、遠目には似て見えます。違いが出てくるのは、時間が経ってからです。鉄は錆びていきますが、チタンにはアノダイック電解被膜処理が施され、耐腐食性が高められています。付けた直後の見た目より、数年後の見た目に差が出る選択、と考えていただくのが実態に近いと思います。

この「地味だが長く効く」という性格は、当店の他のチタン部品とも共通しています。派手さで選ぶ部品ではありません。それでも、洗車のたびに錆びた頭を見て小さく気落ちする、というループから抜けられるのは、思ったより大きいのです。

ボディ色との関係——白・黒・原色それぞれ

どちらを選ぶかは、最終的にボディ色との関係で決まります。あくまで判断の出発点としてですが、傾向を整理しておきます。

ボディ色ブルーの見え方シルバーの見え方
白・シルバー系点として強く浮き上がる。狙って効かせやすい面に溶け込み、ほとんど主張しない
黒・濃紺系暗い面の中で光ったときに映える。曇天では落ち着く輪郭が線として出る。締まって見える
赤・黄など原色系色同士がぶつかることがある。実車で要確認色数を増やさないので、まとまりやすい
ガンメタ・グレー系差し色として効きやすい同系色でまとまる。地味に見える場合も

この表で強調しておきたいのは、原色系の行です。すでに強い色を持っている車に、別の強い色を足すと、どちらも弱くなることがあります。色は数が増えるほど一つあたりの力が落ちる、というのが配色の基本です。赤い車に青いボルトを付けるのが悪いということではなく、実車の前で一度確かめてほしい、ということです。

もうひとつ、車のほかの部分に既にチタンの焼き色が入っているかどうかも見てください。エンジンルームやマフラーまわりに同じ表情の色があるなら、ブルーは全体をまとめる役に立ちます。どこにもないなら、ナンバーだけが一人で主張することになります。ボンネットの中がすでに何色もある場合は、そちらを先に整理したほうが早いこともあります。手順はエンジンルームの色数を数える|青・赤・銀が混ざった機械室を落ち着かせるに書きました。

何個も付ける場所ではないから、外しても痛くない

ここまで理屈を並べましたが、正直に書きます。この判断は、間違えてもほとんど損をしません。

一つ1,500円で、必要な数も限られています。カスタムパーツの中では、非常に小さい賭けです。しかも交換にかかる手間もわずかで、気に入らなければ戻すのも難しくありません。迷って半年決められないより、片方を試したほうが早いというのが、正直なところです。

実物を手にすると、写真では分からなかったことが分かります。ブルーがどのくらい動くのか。シルバーの面がどのくらい光を返すのか。そして何より、自分の車の後ろに立って眺めたときの印象は、実際に付けてみないと出てきません。前後で色を変えて、しばらく乗ってから決めるという方もいらっしゃいます。

ひとつだけ、作業の前に確認していただきたいことがあります。後ろのナンバープレートには封印が付いている場合があります。封印の付いたボルトは、ご自身で外すものではありません。取り扱いは所定の窓口や整備工場の管轄になりますので、無理に触らず、外せる位置のボルトだけを交換してください。判断に迷う場合は、作業前に整備工場へご相談ください。

また、チタンのボルトは締め付けの扱いに癖のある素材です。強く締めれば安心という部品ではありませんので、力任せに締め込まないこと。不安があれば、作業そのものを整備工場に任せてしまうのも十分に現実的な選択です。

色の見え方は個体で少し違う、と先に言っておく

最後に、期待の調整をさせてください。陽極酸化でできる色は、まったく同じにはなりません。

前の章で書いたとおり、色は膜の厚みで決まります。膜の厚みは、処理のときの条件でわずかに変わります。ですから、同じ「ブルー」でも、個体によって青の寄り方や紫の混ざり方が少しずつ違います。これは不良ではなく、この仕上げが持っている性質です。アルミのアルマイトでも同じことが起きる話は同じ色を注文したのに、少し違うに書きました。

実務的なおすすめは単純です。同じ場所に並べて付けるものは、まとめて手に入れる。時期を空けて買い足すと、隣り合ったときに差が見えることがあります。逆に、前と後ろのように離れた場所であれば、多少の差はまず気になりません。

そして、商品ページの写真と実物の色が完全に一致するとも限りません。ご覧になっている画面の設定でも色は変わります。写真は雰囲気を伝えるもの、と考えていただくのが安全です。この手の小物はその他アクセサリー一覧にまとめています。

まとめ:自分の車の後ろに立って決める

ブルーとシルバーは、価格も仕様も同じで、性格だけが違います。動く色を足すか、素材の面をそのまま見せるか。その二択です。

1,500円で、車の後ろ姿が少しだけ変わります。小さいけれど、毎日誰かの視界に入っている場所です。ここを自分で選んだという事実そのものが、案外長く効きます。

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