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ナンバープレートのボルトが錆びる理由|チタンボルトに替える前に知る電食と色の話

2025年11月5日 / 約12分

A06 チタンボルト ブルー(チタン合金製 M6ボルト、アノダイック電解被膜処理)

洗車の仕上げに、車の後ろへ回って全体を眺める。ボディはきれいになった、ホイールの汚れも落ちた。ところがナンバープレートの四隅に目が行った瞬間、少し気分が下がります。ボルトの頭に赤茶色が浮いていて、周りの白いプレートにまで薄く色が流れている。拭いても取れません。錆はもう金属の中に入っているからです。

面積で言えば直径1センチにも満たない部品です。それでも目立つのは、白いプレートという明るい背景の真ん中にあり、しかも人の視線が集まる高さにあるから。外装の仕事をしていたころ、「小さくても視線が集まる場所は妥協できない」という判断を何度もしました。ナンバープレートのボルトは、まさにその典型です。

この記事では、鉄のボルトがどこから錆び始めるのか、チタン合金が錆びにくいと言われる理由は何なのか、アルミのナンバーフレームと組み合わせるときに気をつける電食(異種金属が触れて起きる腐食)の話、そしてブルーとシルバーで表面処理がどう違い、その色がどのくらい保つのかを整理します。最後に、必要な本数の数え方と締め付けの注意もまとめます。

鉄のボルトが錆びる仕組みと、雨水がたまる場所

鉄が錆びるには、酸素と水が要ります。両方そろった状態が続くと、鉄は酸化鉄に変わっていく。あの赤茶色は、その酸化鉄です。学校で習う話ですが、実務で効いてくるのは「両方そろった状態がどこで長く続くか」という一点だけです。

ナンバープレートのボルトまわりは、その条件がきれいに整っています。ボルトの頭にはドライバーを掛ける溝があり、ここは水がたまります。ワッシャーとプレートの間、プレートと取り付け面の間にも隙間があり、入り込んだ水がなかなか抜けません。しかも走行風は前から当たるので、車体前方のプレートは水しぶきと路面の汚れを最も浴びる場所のひとつです。乾く時間より濡れている時間のほうが長い部位——設計の側から見ると、そういう場所は最初から危険地帯として扱います。

冬に融雪剤をまく地域では、条件がさらに厳しくなります。塩化物が溶けた水は電気を通しやすく、腐食の反応を速めるからです。海沿いも同じ理屈です。外装部品の開発では、こうした場所を「水が切れない部位」として洗い出し、水抜きの経路を作るか、そもそも錆びない材料に置き換えるかを決めていきます。ボルト1本の話でも、考え方は変わりません。

純正のボルトはたいてい鉄にめっきや塗装をかけたものです。表面の膜がある間は守られますが、締め付けのときにドライバーで溝を舐めたり、工具が滑って頭を傷つけたりすると、そこから膜が破れます。傷ついた一点が起点になって錆が広がる。現場でよく見る壊れ方です。つまり錆は「時間が経ったから出る」だけでなく、「最初の作業が雑だったから出る」場合もかなりあります。

チタン合金が錆びにくい理由——表面にできる薄い膜

では、なぜチタンは錆びにくいのか。よく「錆びない金属」と紹介されますが、正確にはむしろ逆で、チタンはとても錆びやすい金属です。空気に触れた瞬間に、表面が酸素と反応します。ただし、そのときにできる酸化物の膜が非常に緻密で、しかも金属の表面にぴったり張り付く。この膜が内側の金属を空気と水から隔てるので、そこで反応が止まります。これを不動態皮膜(ふどうたいひまく)と呼びます。

鉄の錆との違いは、できあがる膜の性質にあります。鉄の赤錆はもろく、体積が膨らんで剥がれ落ちる。剥がれると下の鉄がまた露出し、その繰り返しで内側へ進んでいきます。一方チタンの膜は剥がれにくく、傷が付いても空気があればその場ですぐ再生します。だから「錆びない」のではなく、錆びた瞬間に自分で蓋をする金属だと考えると理解しやすいはずです。ステンレスが錆びにくいのも、含まれるクロムが同じことをしているからです。

当店のA06 チタンボルト ブルー(¥1,500)とA07 チタンボルト シルバー(¥1,500)は、いずれもチタン合金製のライセンスプレート用マウンティングボルトです。M6のボルトとワッシャーのセットで、表面にはアノダイック電解被膜処理が施され、耐腐食性を高めています。日本のライセンスプレートに合わせた設計で、ボルトは1本ずつの販売です。

異種金属が触れると起きる電食——アルミのフレームと組み合わせるとき

ここからが、材料を替えるときに必ず出てくる話です。種類の違う金属が触れ合った状態で、そこに水——特に塩分を含む水——が入ると、二つの金属の間に小さな電池ができます。電子が流れ、片方が優先的に溶ける。これが電食、専門的には異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)と呼ばれる現象です。

どちらが溶けるかは、金属ごとの電位の並びで決まります。ざっくり言えば、チタンやステンレスは電位の高い(貴な)側、アルミやマグネシウム、亜鉛は低い(卑な)側です。そして溶けるのは低いほう。つまりチタンのボルトとアルミのナンバーフレームを直接組み合わせ、そこに雨水と融雪剤が入ると、犠牲になるのはアルミのフレーム側ということになります。ボルトを錆びない材料にしたのに、相手側が痩せていく——というのは、材料を替えるときにいちばん起きやすい落とし穴です。

組み合わせ起きやすいこと対策の考え方
チタンボルト × 樹脂のバンパーやフレーム樹脂は電気を通さないので電池ができない特に気にしなくてよい組み合わせ
チタンボルト × アルミ製ナンバーフレームアルミ側が白い粉を吹く/穴の周りが痩せる間に樹脂ワッシャーを一枚挟む。洗車で塩分を流す
チタンボルト × 鉄のブラケット鉄側が優先して錆びることがある接触面の塗装を傷つけない。水を滞留させない
鉄ボルト × 相手を問わずボルト自体が錆びる材料そのものを替える

と書くと怖い話に聞こえますが、実際の影響の大きさは「水がどれだけ長くそこに留まるか」と「塩分があるか」で決まります。乾いていれば電池はできません。雪国や海沿いでアルミのフレームを使っているなら、間に薄い樹脂ワッシャーを一枚挟むだけで接触が切れます。それ以外の環境なら、洗車のときにナンバーまわりにも水をかけて流す、という程度の運用で十分実用になります。

逆に言えば、樹脂のバンパーに樹脂のフレーム、あるいはフレームなしでプレートを直付けしている場合、電食はほとんど考えなくてよい組み合わせです。自分の車がどうなっているかを一度覗いておくと、判断が早くなります。

ブルーとシルバー——アノダイック電解被膜と、色の耐久

A07 チタンボルト シルバー(チタン合金製 M6ボルト・ワッシャー付き)

ブルーとシルバーの違いは、塗料の違いではありません。チタンの色は、表面の膜の厚さで決まります。

先ほど出てきた酸化の膜を、電気を使って狙った厚さまで育てる処理が、商品ページに書かれているアノダイック電解被膜処理(陽極酸化)です。膜が透明なので、表面で反射した光と、膜を通り抜けて金属面で反射した光が重なり合い、厚さに応じて特定の色だけが強め合います。シャボン玉や路面の油膜が虹色に見えるのと同じ、干渉という現象です。膜が薄ければ金色寄り、少し厚くなると紫から青、さらに厚くなると水色や緑へ。溶接部の焼き色が虹色になるのも同じ理屈で、こちらはチタンの焼き色はなぜ美しいのかで詳しく書きました。

この仕組みが分かると、色の耐久についても正しく心配できるようになります。色素が入っているわけではないので、紫外線で退色するという類の劣化はしません。塗装の青が数年で白っぽくなるのとは、まったく別の話です。一方で弱点もあります。色を作っているのは極めて薄い膜なので、研磨剤の入ったケミカルで強く擦れば削れます。削れた分だけ膜が薄くなり、色が変わって見える。コンパウンドや金属磨きをボルトの頭に当てるのは避けてください。中性洗剤と水、柔らかいスポンジで十分です。

色選びの考え方も一言だけ。ブルーは干渉色特有の深みがあり、見る角度で表情が変わります。ボディカラーが黒や濃色で、小さな差し色を効かせたいときに向きます。シルバーはチタンそのものの色で、ナンバープレートの白と喧嘩しません。純正然とした佇まいのまま、錆だけをなくしたい人にはこちらです。どちらも同じ価格で、材料と機能は同じ。残りは好みの問題です。

必要な本数の数え方と、締め付けの注意

買うときに迷いやすいのが本数です。当店のチタンボルトは1本ずつの販売で、商品ページには「標準的な日本のライセンスプレートの取り付けには通常3セットが必要」と記載しています。前後のプレートを見比べながら、実際に何本替えられるのかを先に確認しておくと確実です。

ここで一つ、大事な注意があります。普通車(登録自動車)の場合、後ろのナンバープレートの左側のボルトには封印が付いています。これは所有者が勝手に外していいものではありません。軽自動車には封印が付きませんが、いずれにせよ後ろのプレートまわりで判断に迷ったら、作業の前に運輸支局や整備工場へ相談してください。前のプレートの2本と、後ろのプレートの封印されていない側。ここが、現実的に自分で手を入れられる範囲になります。

締め付けについても、材料の性質から来る注意点があります。

作業自体は、慣れていれば数分で終わります。それでいて、洗車のたびに目に入っていた赤茶色がなくなる。費用対効果という意味では、かなり上位に来るカスタムです。その他アクセサリー一覧には、ボルトのほかにも小さな金属パーツを並べています。

A02 6速マニュアル シフトパターン キーホルダー(マグネシウムアルミ合金製)

ついでにもう一つ。小さな金属部品は、色と質感を揃えると急に「意図された選択」に見え始めます。A02 6速マニュアル シフトパターン キーホルダー(¥2,200)はマグネシウムアルミ合金製で、5速・6速のシフトパターンをかたどったもの。キーチェーンとしても、車両に取り付けてシフトパターンプレートとしても使えます。ボルトをシルバーで揃えたなら、手元の小物もシルバーで——という揃え方は、地味ですが効きます。同じ数え方はボンネットの中でも使えて、エンジンルームの色数を数えるでは、青・赤・銀が混ざった機械室を落ち着かせる順番を書きました。中古車を手に入れて少しずつ仕立てていく順番については、中古MT車を自分の車にする最初のカスタム3ステップもあわせてどうぞ。

よくある質問

チタンボルトは本当に錆びませんか?

「絶対に錆びない」と言い切れる金属は存在しません。チタンは表面にできる緻密な酸化の膜が内部を守るため、日常的な雨や洗車の環境では鉄と比べて格段に腐食しにくい、というのが正確な表現です。ただし、強い酸やフッ素を含む薬品など、その膜を壊す環境では話が変わります。ホイールクリーナーの一部にはこうした成分が入っているものがあるので、ボルトに直接かからないよう気をつけてください。

ブルーの色は何年くらい保ちますか?

年数で保証できる性質のものではありませんが、色の仕組みから言えることはあります。この青は色素ではなく膜の厚みによる干渉色なので、紫外線で褪せるという劣化の仕方はしません。色が変わるとすれば、膜が物理的に削られたときです。研磨剤入りのケミカルやコンパウンドを避け、洗車は中性洗剤と柔らかいスポンジで。それだけで、色の面ではかなり長く保ちます。

ナンバーフレームを一緒に使っても大丈夫ですか?

フレームの材質次第です。樹脂製なら電気を通さないので、電食の心配はほぼありません。アルミ製の場合はチタンとの間で電池ができうるので、融雪剤や潮風にさらされる環境では、間に薄い樹脂ワッシャーを挟むか、洗車のときにナンバーまわりも水で流す運用にしてください。なお、ナンバープレートの表示のしかたには決まりがあり、フレームの形状や取り付け方によっては指摘の対象になる場合があります。判断に迷う製品は、取り付け前に確認しておくのが安全です。

後ろのナンバープレートのボルトも自分で替えられますか?

普通車では、後ろのプレートの左側に封印が付いており、これは所有者が勝手に取り外すものではありません。触れるのは封印されていない側だけと考えてください。どうしても両側を替えたい事情がある場合は、運輸支局や整備工場に相談したうえで判断してください。前のプレートは2本とも自分で作業できます。軽自動車には封印がありませんが、外すときはプレートを曲げないよう丁寧に扱ってください。

まとめ:買う前に確認する4つのこと

ボルト1本の話ですが、材料と表面処理という観点で選べば、判断の筋道ははっきりします。錆びるのは水が切れない場所。チタンは錆びた瞬間に自分で蓋をする金属。色は膜の厚みで決まり、削らなければ褪せない。

次の洗車のとき、ナンバーの四隅をもう一度見てみてください。赤茶色が浮き始めているなら、それは「そろそろ」の合図です。小さな部品ほど、替えたときの満足がきれいに残ります。

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