1シーズン走ったオイルクーラーを点検する|フィンの潰れ、飛び石、ホースの硬さ

去年の春に取り付けたオイルクーラーは、期待どおりに働いてくれました。夏の走行会でも油温は落ち着いていて、以前のように後半でタレる感じがない。付けてよかった、と何度も思いました。そして秋が来て、冬が来て、また春になりました。
先日、洗車のついでにバンパーの下を覗き込んで、少しどきりとしました。コアの表面が、想像していたよりずっと汚れている。細かい傷のようなものが無数にあり、隅のほうには何かが詰まっている。ホースを指で押してみると、去年触ったときより硬い気がする。気がするだけかもしれない。ただ、そもそも自分は去年、どのくらいの硬さだったかを覚えていません。
この違和感には、記録がないという問題も混じっています。去年の状態を測っておかなかったので、変化なのか元からなのかが分からない。点検が難しいのは、見る目がないからではなく、比べる相手がないからです。
この記事は、オイルクーラーを付けて一年ほど経った方に向けて書きます。飛び石を受けた面をどう見るか、潰れたフィンが何を意味するか、ホースの硬さをどこで判断するか、ステーの緩みと擦れをどう探すか、そして冬を越したあとに必ずやっておきたいこと。壊れているかどうかではなく、点検の目を持つための話です。
付けた日で終わりにしない、という話
オイルクーラーは、取り付けが山場の部品です。ホースを引き回し、アダプターを合わせ、漏れがないことを確認して、ようやく完成する。その達成感が大きいぶん、付けた日が終点になりやすい。私たちも、そういう部品を作っている自覚があります。
ただ、この部品が置かれている環境は、車の中でも特に厳しい部類です。走行風を受けるということは、風に混じって飛んでくるものも全部受けるということだからです。しかも多くの場合、バンパーの内側や下側という、点検で覗きにくい位置にあります。厳しい環境と、見えにくさ。この二つが重なっています。だから、長い距離を走る前にも一度は覗いておきたい部品です。出発前夜にエンジンルームを一周する順路は遠出の前夜、10分でエンジンルームを見るにまとめました。
当店のP01 10列式オイルクーラーキット(¥28,000)は、本体側のホースおよびフィッティングにAN10サイズを採用し、車両側アダプターとしてM20×1.5および3/4-16 UNFの2種類が付属します。10列のコアで放熱を稼ぐ構成です。導入前に確認したいことは油温が上がってタレるにまとめましたので、この記事はその続き、「使い始めてからの話」として読んでください。
車の前側に付く部品は、飛び石を全部受けている
まず、コアの表面を見ます。ここで何が起きているかを理解しておくと、見るべき点がはっきりします。
走行中、車の前面には路面から跳ね上がった小石、砂、虫、泥、そして季節によっては融雪剤が当たり続けます。ラジエーターやエアコンのコンデンサーも同じ環境にありますが、オイルクーラーはさらに前や下に置かれることが多い部品です。受ける量は、位置によってはそれらより多くなります。
点検の手順は難しくありません。エンジンが十分に冷えていることを確認してから、明るい場所で、できれば懐中電灯を当てながらコアの正面を見ます。見るのは次の三つです。
- 詰まり。 フィンの隙間に、虫や葉、泥が詰まっていないか。特に下側の隅に溜まりやすい
- 潰れ。 フィンが曲がって、隙間がふさがっている場所がないか
- 滲み。 コアの表面や継ぎ目に、オイルの湿った跡がないか
三つめの滲みは、見つけたらそこで手を止めてください。油が外に出ているということは、どこかに経路ができているということです。自己判断で拭き取って様子を見るより、整備工場に見てもらうほうが確実です。
潰れたフィンは、そこだけ風が抜けない
フィンの潰れが、なぜ問題になるのかを一言で説明します。
オイルクーラーは、熱いオイルが通る管の周りに薄い金属のひだ——フィンを付けて、表面積を稼いでいる部品です。そこへ風が通ることで、熱が空気に移っていきます。つまり仕事をしているのは、オイルと空気が触れ合っている面の広さと、そこを通る風の量です。
フィンが潰れると、その部分の隙間がふさがります。ふさがった場所には風が通りません。風が通らなければ、そこにあるフィンは面積として数えられなくなります。面積が減れば、その分だけ熱を捨てる能力が落ちる。潰れが小さければ影響も小さいのですが、飛び石は一度で終わりません。一シーズン、二シーズンと積み重なっていきます。
ここで正直に書いておきます。潰れたフィンを自分で起こす作業は、失敗すると被害が広がります。フィンは非常に薄く、力を掛ける方向を間違えると裂けます。裂けた場所は、潰れているより悪い状態です。専用の工具もありますが、扱いには慣れが要ります。
ですから現実的な判断は、次のようになります。
| 状態 | 考え方 |
|---|---|
| 数か所、ごく浅い潰れ | 記録して経過を見る。無理に触らない |
| 広い範囲でフィンが寝ている | 整備工場に相談する。作業を頼むかどうかも含めて |
| 詰まりだけで、フィンは無事 | やわらかい方法で取り除く。詳細は次の項へ |
| コアが変形している、滲みがある | 自分で判断せず、点検を依頼する |
詰まりを取るときにやってはいけないこと
虫や泥の詰まりは、フィンさえ無事なら自分で対処できる範囲です。ただし、強い水圧を至近距離から当てるのは避けてください。薄いフィンは、水の勢いだけでも簡単に倒れます。「掃除したらかえって潰れた」というのは、実際によくある話です。
基本は、やわらかいブラシで表面のものを落とし、水は少し離れた位置から、フィンの向きに沿って流す。風が抜ける方向に沿って流すのがこつです。逆から当てると、詰まりを奥へ押し込むことになります。エンジンルーム側に水をかけるなら、先に養生しておきたい場所があります。社外部品を付けたエンジンルームに、水をかけていいか|洗う前に養生する3か所にまとめました。
ホースは硬くなる——曲がりの外側から見る
次にホースです。ここは、見た目より触った感触が情報になります。
ホースは、熱と時間で少しずつ変化します。柔らかさが失われ、弾力が落ちていく。この変化はゆっくり進むので、毎日見ている人ほど気づきません。だからこそ、一年に一度、意識して触る機会を作る価値があります。
見るべき場所は決まっています。曲がっている部分の、外側です。ホースが曲がっているとき、内側は縮み、外側は伸びています。伸びている面は表面が開きやすく、細かいひび割れが最初に現れるのはたいていここです。
- 曲がりの外側を、指の腹でなぞる。 表面が粉を吹いたようになっていないか、細かい割れがないか
- 硬さを確かめる。 軽く握って、去年と比べてどうか。比較のために、毎年同じ場所を触るのがこつです
- 継ぎ目のまわりを見る。 フィッティングとの接続部に、滲みや変色がないか
- 擦れの跡を探す。 他の部品と触れている場所に、光沢の変わった筋がないか
四つめの擦れは、時間が経ってから出てくる典型です。取り付けた日には触れていなかったものが、走行の振動で少しずつ寄っていくことがあります。擦れは、ホース自身の劣化より速く進むことがあります。見つけたら、経路を離すか、当たり止めを挟むかを検討してください。
取り付けステーの、緩みと擦れ
コアを支えているステーとボルトも、同じ日に見ます。ここは地味ですが、外れたときの影響がいちばん大きい場所です。
点検で見るのは、緩みそのものより緩んだ痕跡です。ボルトの頭のまわりに、こすれて色の変わった輪ができていないか。ステーと車体が触れている面に、動いた跡がないか。動いていた場所は、必ず何かの跡を残します。
もうひとつ見ていただきたいのが、ステーと車体の間に挟まっているものです。金属同士が直接触れている場所は、振動で塗装が削れます。削れた場所からは錆が始まりますし、異種の金属が触れていれば腐食が進むこともあります。この話は雪道を走ったあとの金属パーツに詳しく書きました。
もうひとつ、取り付けのときに使ったアダプター周辺も同じ日に見てください。当キットには車両側アダプターとしてM20×1.5および3/4-16 UNFの2種類が付属し、車両に合うほうを使っていただく構成です。この接続部は、オイルが実際に通る場所です。まわりに湿った跡や、埃がオイルで固まったような汚れがないかを確認します。オイルの滲みは、埃を集めることで見つけやすくなります。乾いた埃と、しっとりした埃の違いを探す、という見方です。
締め直しについては、慎重にお願いします。緩んでいるからといって力任せに締めると、今度はステーが変形したり、ボルトを傷めたりします。適切な締め方が分からない場合は、整備工場に依頼するのが確実です。足回りに近い位置にある部品ですので、ここは無理をしないでください。
冬を越したら、融雪剤の塩分を洗い流す
最後に、季節の話をします。冬を越したあとの一回は、他のどの点検より優先度が高いと考えてください。
雪道や凍結した路面には融雪剤がまかれます。これが跳ね上がって車の下回りと前面に付着し、そのまま残ると金属を腐食させていきます。オイルクーラーは、前面に置かれ、しかも隙間の多い構造をしているという意味で、いちばん受けやすい部品のひとつです。フィンの隙間に入り込んだものは、走っているだけでは抜けません。
春先にやることは単純です。水でよく流す。前の章で書いたとおり、強い水圧を至近距離から当てないよう気をつけながら、時間をかけて流してください。下回りも同様です。
ついでに、冬のあいだの油温がどうだったかも思い出してみてください。オイルクーラーは、冷やしすぎるという別の問題も持っています。冬に油温が上がりきらない状態が続いていたなら、そこにも考えることがあります。冬、オイルクーラーは冷えすぎるのかにまとめてあります。
そして、その油温を実際に見ていたかどうか。数字を見ていなければ、冷えすぎていたかどうかも分かりません。もし油温計をまだ入れていないなら、点検の話とあわせて検討する価値があります。当店のP07/P08 シングル メータースタンド(53mm/60mm)(¥4,800)は3mmのCNC加工されたドライカーボン製で、53mmまたは60mmのアフターマーケットのメーターに対応します。冷却系の部品はパフォーマンスのコレクションにまとめています。
まとめ:一年に一度、同じ順番で見る
点検は、覚えていられるかどうかで決まります。項目を増やすより、順番を固定して毎年同じように見るほうが続きます。
- エンジンが十分に冷えていることを確認してから作業を始める
- 明るい場所で、コアの正面を見る。詰まり、潰れ、滲みの三つ
- 滲みを見つけたら、そこで手を止めて整備工場へ
- 詰まりは、やわらかいブラシと、離した位置からの水。強い水圧を近づけない
- 潰れたフィンを自分で起こそうとしない。裂けると状態は悪くなる
- ホースは、曲がりの外側を指でなぞる。硬さは去年との比較で見る
- 他の部品と触れている場所の、擦れた筋を探す
- ステーは、緩みそのものより「動いた跡」を探す
- 冬を越したら、時間をかけて水で流す。フィンの隙間に残ったものが問題
- 締め直しや分解に不安があれば、整備工場に依頼する
オイルクーラーは、付けた瞬間に効き始めて、そのあと静かに働き続ける部品です。静かだからこそ、こちらから見に行かないと状態が分かりません。一年に一度、十五分ほど。それだけで、次の一年の安心はかなり違ってきます。
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