ナンバープレートのボルトは、全部替えていいわけではない|前と後ろで扱いが違う

チタンのボルトが届いた日曜の午前中。工具を持って車の前に回り、ナンバープレートの2本を眺めます。プラスの頭が少し錆びていて、周りに茶色い筋が垂れている。これを替えれば見違えるはずだ、と思いながら、そのまま車の後ろへ回りました。そこで手が止まります。後ろのプレートは、片側の様子が違う。ボルトの頭に、金属のカバーのようなものが被さっています。
この場面でいったん立ち止まれた方は、正しい判断をされています。ナンバープレートのボルトは、前と後ろで扱いが違い、後ろには外すことを前提としていない部品が付いていることがあるからです。素材や色を選ぶ話の手前に、そもそも何本触っていいのかを数えるという工程がある。ここを飛ばすと、日曜日の午前中が面倒な一日に変わります。
この記事では、法規の細かい解釈には踏み込まず、原則をひとつだけはっきりお渡しします。外すことを想定していない部位には手を出さない、ということです。そのうえで、自分の車を見て替えられる本数を数える手順、外す前に見ておくこと、替えたあとに起きやすいこと、そして確信が持てないときの逃げ道までをお話しします。
工具を持って車の後ろに回ると、片側だけ様子が違う
まず、目で見て分かることから整理します。日本のナンバープレートは、前後それぞれをボルトで車体側のステーに留めています。前は、頭が素直に見えているボルトが並んでいる。ところが後ろは、そのうちのひとつに金属のカバーが被せられていることがあります。
このカバーは、いわゆる封印と呼ばれるものです。プレートを固定しているボルトの頭を覆っていて、上から見ると円い金属の蓋のように見えます。外そうとすると壊れる作りになっており、壊れたことが外から分かるようになっているのが、この部品の本質です。壊れずに外して、また元通りに付けられる部品ではありません。
ここで大事なのは、封印が「硬いから外せない」のではなく、「外したことが分かるようにしてある」という点です。つまり、力任せに外せてしまうかどうかは問題ではない。作りの意図として、ユーザーが自分で外して付け直すものではない、という設計になっています。
なお、封印が付いているかどうかは車の種類によって違います。軽自動車には封印が付かないのが一般的です。ご自身の車がどうなっているかは、実際に後ろへ回って見るのがいちばん確実です。写真や一般論ではなく、自分の車の後ろを見てください。
もうひとつ、前後で違うのが工具です。前のボルトはバンパーの上面に近い高さにあり、正面から素直に工具が入ることがほとんどです。ところが後ろは、車種によってはバンパーの造形やガーニッシュが張り出していて、まっすぐ工具を差し込めないことがあります。作業を始める前に、工具が入る角度があるかどうかを見ておいてください。斜めから力をかけると、頭をなめて、話が一気に面倒になります。
封印が付いているボルトには、手を出さない
この記事でお伝えしたい原則は、これ一つです。封印が付いているボルトには触らない。作業を始める前に、それだけを決めておいてください。
理由は単純で、封印の取り扱いは公的な手続きの領域にあり、購入したボルトの善し悪しとは別の話だからです。取り付けや取り外しに手続きが必要な部位は、部品を替えて楽しむ対象ではありません。もし後ろのプレート全体に手を入れたい事情がある場合は、整備をお願いしている工場か、手続きを扱う窓口に相談してください。私たちがここで「こうすれば大丈夫です」と申し上げるべき領域ではないと考えています。
この判断は、実はカスタム全般に共通する考え方でもあります。チタンボルトを使っていい場所と、使わない場所でも同じ整理をしましたが、部品の性能が高いことと、そこに使ってよいことは別の問題です。素材の話をする前に、触ってよい範囲を確定させる。順番を守るだけで、ほとんどの失敗は避けられます。
では、何本替えられるのか——自分の車を見て数える
触ってよい範囲が決まれば、あとは数えるだけです。手順は次のとおりです。
- 車の前に立ち、ナンバープレートを留めているボルトの頭を数える
- 車の後ろに回り、同じように数える
- 後ろのうち、封印が被さっているものがあれば、その本数を引く
- 残った本数が、あなたの車で替えられる本数です
この数え方をすると、多くの場合、前と後ろで替えられる本数が揃いません。ここが意外な落とし穴で、「セットで買ったのに1本余る」あるいは「1本足りない」という状態が起きます。だから、注文する前に数えておく必要があるのです。
| 確認する場所 | 見るもの | 判断 |
|---|---|---|
| 前のプレート | ボルトの頭の数と、工具が入る形状 | 基本的に、見えている本数がそのまま替えられる本数 |
| 後ろのプレート(封印なし側) | ボルトの頭の数 | 前と同じ考え方で数える |
| 後ろのプレート(封印あり側) | 金属のカバーの有無 | 触らない。本数から除外する |
| プレートを留めるステー | ステーごと共締めになっていないか | 共締めなら、外すとステーも動く。作業前に把握しておく |
当店のA06 チタンボルト ブルー(¥1,500)とA07 チタンボルト シルバー(¥1,500)は、いずれもM6のボルトとワッシャーが含まれるセットで、高品質なチタン合金製、表面にはアノダイック電解被膜処理が施され、耐腐食性が高められています。日本のライセンスプレートに適合するよう設計されており、各ボルトは個別に販売しています。商品ページには「標準的な日本のライセンスプレートの取り付けには通常3セットが必要」と記載していますが、実際に必要な数はご自身の車を数えてから決めてください。封印の有無で変わるからです。
数えるときに、もうひとつ見ておくと良いことがあります。いま付いているボルトの頭の形です。プラスの十字なのか、六角なのか。頭の形が揃っていない車もあり、その場合は前と後ろで見え方が変わります。替えたあとに頭の形が揃うというのは、実は錆が消えること以上に効く変化です。横から覗いたときの整い方が違ってきます。
外す前に見ておく、三つのこと
本数が決まったら、いよいよ外す作業です。ただ、その前に見ておくと後で困らないことが三つあります。
一つ目、ステーの状態。ナンバープレートは、車体に直付けされているとは限らず、ステーと呼ばれる金具を介して留まっていることがあります。ボルトを抜いたときにステーごと落ちてくると、塗装面を叩きます。抜く前に、片手でプレートを押さえられる姿勢を作っておいてください。
二つ目、座面の汚れ。ボルトの頭が乗っている面を座面と言います。ここには何年分かの汚れや、錆の粉が溜まっています。古いボルトを抜いたら、新しいものを入れる前に一度拭いてください。汚れを噛んだまま締めると、まっすぐ座らず、締めたつもりで緩んでいることがあります。
三つ目、既存ボルトの長さ。抜いたボルトは捨てずに取っておき、新しいものと並べて長さを比べてください。長さが違うと、掛かるネジ山の数が変わります。並べて見るだけの1秒で、あとの不安がひとつ消えます。そして外した純正のボルトは、袋に入れて保管しておいてください。戻したくなったときに必ず要ります。
ちなみに、そもそもなぜ替えたくなるのかというと、多くは錆です。純正のボルトが錆びて、プレートやバンパーに茶色い筋が垂れている状態。チタンを選ぶ理由もそこにあります。錆と素材の関係についてはナンバープレートのボルトが錆びるで詳しくお話ししています。
作業する時間帯についても、ひとこと添えておきます。屋外で作業されるなら、日が高いうちをおすすめします。ボルトの頭に工具が正しく入っているかどうかは、手の感触より目で見たほうが確実で、暗いと確認が甘くなります。頭をなめてしまう失敗の多くは、力の入れすぎではなく、工具が浅く掛かった状態で回してしまうことから起きています。明るいところで、しっかり奥まで入れてから回す。ボルト1本の作業でも、そこだけは丁寧にお願いします。
替えたあとに、起きやすいこと
作業そのものは難しくありませんが、替えたあとに気づくことがいくつかあります。先に知っておくと、慌てずに済みます。
- 緩み。走行の振動で、締結部はわずかに動きます。取り付けて1週間ほど経った頃に、一度手で確かめてください。プレートを指で軽く押して、カタつきが出ていないかを見るだけで十分です
- 当たり傷。工具を滑らせると、プレートの表面やバンパーに傷が入ります。ドライバーやレンチは、しっかり奥まで入れてから力をかける。焦らないことがいちばんの対策です
- 色の見え方。アノダイック電解被膜処理による発色は、光の当たり方で表情が変わります。ガレージの蛍光灯の下と、屋外の日中とでは、同じボルトが違う色に見えます
- 本数の不揃い。封印のある側だけ純正のままになるので、後ろのプレートで色が揃わないことがあります。これは避けようがありません
四つ目については、気になる方と気にならない方がはっきり分かれます。気になる場合は、後ろは触らずに前だけを替える、という選び方もあります。前だけ替えても、車の顔として見える面は変わります。その他の小物とあわせてその他アクセサリーのコレクションもご覧ください。
確信が持てないなら、その1本は純正のまま残す
最後に、この記事でいちばん言いたかったことを書きます。判断に迷った1本は、替えないでいい、ということです。
カスタムというのは、全部を替えることが目的ではありません。替えたことで日々の景色が良くなるなら成功で、替えたことで手続きや心配事が増えるなら、それは目的から外れています。1本だけ純正のまま残っていることを、失敗だと思う必要はありません。
私たちは仕事柄、量産の現場で「触ってはいけない部位」を大量に扱ってきました。安全に関わるところ、法規に関わるところ、他部品の前提になっているところ。デザインの自由度は、その外側にあります。制約の中で何ができるかを考えるのが仕事で、制約そのものを破ることは仕事ではない。カスタムも、実は同じ構造をしていると思っています。
ですから、後ろの1本に封印が付いていたら、その1本はそのままにしてください。残りを替えるだけで、錆の筋は消えますし、頭の形も揃います。迷ったら替えない。この一言だけ持って、車の周りを一周してみてください。
まとめ:数えてから、注文する
順番を守るだけで、この作業はとても簡単になります。確認手順を並べます。
- 車の前に立ち、ナンバープレートのボルトの頭を数える
- 車の後ろに回り、同じように数える
- 後ろに金属のカバー(封印)が被さっているものがあれば、その本数を引く
- 残った本数が、替えられる本数。これが決まってから注文する
- 封印が付いたボルトには手を出さない。必要な事情があるなら、整備工場か手続きの窓口に相談する
- 外す前に、ステーが一緒に落ちてこないか、片手で押さえられる姿勢を作る
- 古いボルトを抜いたら座面を拭き、新旧の長さを並べて比べる
- 外した純正のボルトは、袋に入れて保管しておく
- 取り付けて1週間ほど経ったら、指で押してカタつきがないか確かめる
- 判断に迷った1本は、純正のまま残す
ボルト1本の交換は、カスタムの中でもいちばん手軽な部類に入ります。だからこそ、手を動かす前の数分間が効いてきます。工具を持つ前に、まず数えてください。数え終わった時点で、この作業はほとんど終わっています。
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