車好きへの贈り物で外さない方法|相手の車を知らなくても選べるもの

お客様から、こんなお話を伺ったことがあります。誕生日に、車好きのご主人へシフトノブを贈った。ずっと車をいじっている人だから、きっと喜ぶと思って選んだ。ところが開けたときの反応が微妙で、それきり箱のまま引き出しに入っている。理由を後から聞いたら、「うちの車には付かない」の一言だったそうです。
この話を聞いて、私たちは反省しました。悪いのは贈った方でも、贈られた方でもありません。悪いのは、車の部品というものが「相手の情報がないと選べない」構造になっていて、そのことが十分に説明されていないことです。設計の側から言えば、これは適合という問題です。そして適合の情報は、サプライズで贈ろうとするかぎり、手に入りません。
この記事では、なぜ車の部品が贈り物として難しいのか、シフトノブが特に難しいのはなぜか、その難しさをどう回避するか、サイズのある物とどう付き合うか、そして「相手が自分で選べるようにする」という贈り方までをお話しします。相手の車を知らなくても選べるものは、ちゃんとあります。
車に付ける物は、相手の車の情報がないと選べない
量産の設計の現場では、ある部品がある車に付くかどうかは、車名では決まりません。決まるのは型式・年式・仕様の3点です。同じ「シビック」でも、型式が違えば中身は別物ですし、同じ型式でも年改(年次改良)で部品が変わることがある。ミッションがMTかATかでも変わる。カタログの車名だけを頼りに部品を選ぶのは、設計の言葉で言えば、情報が足りない状態です。
ここに、贈り物としての構造的な難しさがあります。この3点を知るには、相手に聞くか、車検証を見るか、実車を確認するしかありません。聞いた時点でサプライズは終わります。車検証を勝手に見るのも、実車をこっそり調べるのも、あまり気持ちのいいやり方ではない。つまり「車に付ける物を、驚かせながら贈る」というのは、そもそも難易度が高い設定なのです。
贈り物の失敗を、センスの問題だと考える必要はありません。情報が足りない状態で判断を強いられていただけです。であれば、対策は簡単です。情報が要らないものを選べばいい。
なぜシフトノブは贈り物として難しいのか
車の部品のなかでも、シフトノブは特に難しい部類です。理由をはっきり書きます。
ネジ径は、メーカーでは決まりません。 「ホンダ車ならこのサイズ」というような整理は、残念ながら成り立ちません。同じ車種であっても、型式・年式・ミッションによって変わります。確定していると言えるのはマツダ車のM12×P1.25くらいで、それ以外は調べようがない。ではどうするかというと、純正のシフトノブを外して、レバー側のネジの外径を実際に測るしかありません。おおよその見当は、M8ならおよそ8mm、M10ならおよそ10mm、M12ならおよそ12mmです。
当店のシフトノブは、付属のアダプターでM8×P1.25/M10×P1.25/M10×P1.50/M12×P1.25の4種に対応しています。つまり、この4種のどれかであれば付けられる。しかし「どれか」を知るには、やはり測るしかありません。
お分かりのとおり、これは贈り物と相性が最悪です。贈り主が確認するには、相手の車のシフトノブを外して測る必要がある。それはもう、サプライズでも何でもありません。ネジ径以外にも、リバースを入れるための機構がノブ側にある車では交換の可否そのものが変わりますし、AT車かMT車かでも話が違います。さらに言えば、握りの形や重さは好みが強く出る部分です。2台の車でシフトノブを使い回せるかという話でも触れていますが、自分の車どうしでも簡単ではないものを、他人のために選ぶのはかなり難しい。
誤解のないように申し添えると、シフトノブが贈り物に向かないという話ではありません。「相手と一緒に測ってから選ぶ」なら、これほど喜ばれる部品もありません。向かないのは、黙って選んで包む、というやり方のほうです。
車に付けない物を選ぶ——身につける、持ち歩く
もう一点、車好きへの贈り物が難しい理由があります。すでに持っている可能性が高いことです。車をいじる人は、自分の車に必要なものを自分で買っています。しかも「まだ買っていない」ものには、買っていない理由があることが多い。予算の順番待ちだったり、先にやるべき整備があったり、単に好みではなかったり。外から見て「足りないもの」に見えるものは、たいてい本人の判断で後回しにされているだけです。
ここからが本題です。適合の情報が要らない物とは、要するに車に付けない物です。身につけるか、持ち歩くか。この二つに絞ると、選択肢は急に明るくなります。
まず、シフトパターンのキーホルダー。当店のA02 6速マニュアル シフトパターン キーホルダー(¥2,200)は、マグネシウムアルミ合金の削り出しで、カラーはシルバー。付属品として金属ストラップと紐ストラップが付いています。5速版のA01 5速マニュアル シフトパターン キーホルダー(¥2,200)も同じ仕様です。
ここで必要な情報は、相手の車の段数だけです。型式も年式もミッションの仕様も要りません。しかも段数は、助手席に一度乗せてもらえば分かります。純正のシフトノブの天面には、たいていシフトパターンが刻印されているからです。会話のなかで「何速なの」と聞かなくても、目で確認できる。これは贈り物を準備する側にとって、かなり有利な条件です。この図形がなぜ記号として強いのかはシフトパターンは意外と見られているに書きました。
もうひとつの利点は、車を乗り換えても手元に残ることです。車に付けた部品は、車を降りるときに一緒に手放すことになります。鍵に付けたものは残る。贈り物としては、この差は小さくありません。
サイズがある物の逃げ方
身につける物には、別の情報が要ります。サイズです。適合情報の代わりにサイズの壁が立ちはだかる、と言い換えてもいい。
当店のC04 ロゴパーカー(¥6,500)はブラックのプルオーバーで胸元にロゴ、サイズはS/M/L/XLの展開です。C03 ロゴTシャツ(¥4,500)も同じくブラック、胸元ロゴの半袖で、S/M/L/XLです。どちらもサイズを選ぶ必要があります。
サイズが分からないときの考え方を、いくつか挙げます。
- Tシャツよりパーカーのほうが、実は当てやすい。 パーカーは中に何かを着る前提の外側の衣類なので、多少大きくても成立します。Tシャツは体に近い分、サイズのずれが出やすい
- 迷ったら1つ上を選ぶ。 小さくて着られないより、大きくて着られるほうが被害が小さい
- 黒は体型の印象が出にくい。 当店のアパレルがブラック基調なのは、合わせやすさが主な理由ですが、結果としてサイズの多少のずれが目立ちにくいという副次的な効果もあります
- 相手が今よく着ているものを見る。 一緒に出かける機会があるなら、着ているものの襟のタグを見せてもらう口実を探すより、普段のシルエットを覚えておくほうが自然です
それでも不安なら、サイズのないものに逃げるという手があります。小物、キャップ、鍵まわり。サイズがない、車種も関係ない、という二重に安全な領域です。
| 贈るもの | 相手の車の情報 | サイズ情報 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| シフトノブ・エクステンション | 必要(実測が要る) | 不要 | 高い。一緒に選ぶ前提なら◎ |
| ステアリング・内装パーツ | 必要 | 不要 | 高い |
| グローブ | 不要 | 必要(手のサイズ) | 中 |
| Tシャツ・パーカー | 不要 | 必要 | 中 |
| キーホルダー・小物 | 段数のみ、または不要 | 不要 | 低い |
この表の右下、つまり「情報がいちばん要らないところ」から選ぶのが、外さない贈り物の基本形です。ラインアップはアパレルのコレクションとその他アクセサリーのコレクションにまとめています。
相手が自分で選べるようにする、という贈り方
ここまで「情報が要らないものを選ぶ」という話をしてきましたが、そもそも情報の問題を回避するもうひとつの方法があります。相手に選んでもらうことです。
車が好きな人にとって、部品を選ぶ時間は、それ自体が楽しみの一部です。どの形が自分の手に合うか、どの重さが好みか、内装の色と合うか。何時間でも悩める。その時間を贈り主が代わりに済ませてしまうのは、実は少しもったいない話かもしれません。
「一緒に選ぼう」と言って、当日に相手の車のシフトレバーを一緒に測る。それはサプライズではありませんが、その日のことは、たぶんずっと覚えてもらえます。車を買ったばかりの方への贈り物なら、中古MT車を自分の車にする最初のカスタム3ステップのような、やることの順番が書いてあるものを添えるのも効きます。何から手をつけるか分からない時期に、地図を渡されるのはうれしいものです。
カタログやウェブサイトのページを印刷して、封筒に入れて渡すという方法もあります。金額の目安だけ伝えて、あとは選んでもらう。味気なく感じるかもしれませんが、車の部品に関しては、これがいちばん確実です。相手は「選んでいい」と言われた瞬間から、しばらく楽しい時間を過ごすことになります。
もうひとつ、贈り物を考えるときにあまり語られない観点があります。それは「外しやすさ」です。車に取り付ける高価な部品は、いざ好みに合わなくても外しにくい。贈った人の顔が浮かぶからです。身につけるものや持ち歩くものは、使わない日があっても罪悪感が生まれにくい。相手に逃げ道を残しておく、というのは、贈り物の作法としてかなり大事なことだと思っています。
よくある質問
Q. 相手の車の車種は知っています。それだけでシフトノブは選べませんか
選べません。ネジ径は車種では決まらないためです。同じ車種でも型式・年式・ミッションで変わります。純正ノブを外してレバー側の外径を測る以外に、確実な方法はありません。当店のシフトノブは付属アダプターでM8×P1.25/M10×P1.25/M10×P1.50/M12×P1.25の4種に対応していますが、そのどれに当たるかは実測しないと分かりません。
Q. 車好きなら、車のパーツをもらうのがいちばん嬉しいのでは
「自分の車に付けられるパーツ」であれば、そのとおりだと思います。問題は、付けられるかどうかが贈る前には分からないことです。付かなかったときの気まずさまで含めて考えると、身につける物や持ち歩く物から入るほうが、結果として喜ばれる確率は高くなります。
Q. 相手がAT車に乗っています。シフトパターンのキーホルダーは失礼になりませんか
受け取り方は人によります。MT車への憧れを持っている方なら喜ばれることもありますし、そうでなければ意味が伝わらないだけです。迷うようなら、車種にも段数にも依存しないアパレルのほうが安全です。
Q. サイズが本当に分かりません
サイズのない物を選んでください。キーホルダーのような小物であれば、サイズも車種も関係ありません。¥2,200前後の小物と、手紙を一枚。金額の大きさと喜ばれる度合いは、思っているほど比例しません。
まとめ:迷ったら「車に付けない物」から
贈り物で外すのは、センスの問題ではなく情報の問題です。車に付ける物は、型式・年式・仕様という情報がないと選べない。そしてその情報は、サプライズで贈ろうとするかぎり手に入りません。
- 車に付ける物は、相手の車の型式・年式・仕様が要る。車名だけでは決まらない
- シフトノブのネジ径はメーカーでは決まらない。確定しているのはマツダ車のM12×P1.25だけ
- ネジ径は純正ノブを外して実測する(M8はおよそ8mm、M10はおよそ10mm、M12はおよそ12mm)
- だからシフトノブは「一緒に選ぶ」贈り方に向く。黙って包むやり方には向かない
- 迷ったら、車に付けない物——身につける物、持ち歩く物から選ぶ
- キーホルダーに要る情報は段数だけ。段数は純正ノブの天面で確認できる
- アパレルはサイズが要る。迷ったら1つ上、Tシャツよりパーカーのほうが当てやすい
- 相手に選んでもらう、という贈り方もある。選ぶ時間そのものが楽しみだから
そして最後にひとつ。使わない日があっても気まずくならないもの。それが、いちばん長く使ってもらえる贈り物です。
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